一般県民の方を対象に、廃棄物に関する知識と正しい理解を広く啓発することを目的に県民講座(施設見学会)を開催しました。
開催日程: | 令和元年12月5日(木) 8:30~16:30 |
視察先: | (1)株式会社 アルフォ 城南島第2飼料化センター (2)高俊興業 株式会社 東京臨海エコ・プラント |
参加者 | 25名 |
「東京スーパーエコタウン」は東京オリンピックが開催される中央防波堤(お台場沖合に建設された東京港の防波堤)内側の埋立地と、東京都大田区にある人工島である城南島に立地しています。東京スーパーエコタウン事業とは、首都圏の廃棄物問題の解決と環境産業の立地を促進、循環型社会への変革の推進を目的として、東京都が国の都市再生プロジェクトの一環として行っており、大規模なプラント10施設が稼働しています。
今回は食品廃棄物と建設混合廃棄物の先駆的な処理を行う2施設を見学しました。
両工場は砂浜と緑地がある城南島海浜公園に隣接しているため、東京港に出入りする大型船や羽田空港を離発着する飛行機を間近に見ることができ、とても景色のよい施設でした。
「すべての生ごみ受け入れます。ごみは一袋ずつ開けて異物混入がないか中味の確認をします。生ごみをてんぷら方式で処理します。」
同社営業課鈴木氏より、このような説明を受けました。参加者は思いがけない処理方法に意表をつかれたようでした。食品廃棄物を一日あたり140トン処理する城南島第2飼料化センターでは、「油温減圧式脱水乾燥法(てんぷら方式)」による蒸発乾燥・飼料化、さらにバイオガス発電を行なっているそうです。てんぷら方式(国内で3施設のみ)は食品廃棄物を廃食用油と混合し、油温減圧脱水乾燥装置の中で、蒸気による間接過熱を加え、約90分で廃棄物に含まれる約80%の水分を蒸発乾燥させます。不純物を除去し、養鶏・養豚用の配合飼料原料に生まれ変わるそうです。油で揚げることにより栄養分が残り上質な飼料となるそうです。
この工場は、廃棄物の多量排出地である都内に立地しているため、「新鮮な状態の生ごみ」を受け入れることが出来ること(腐敗したものは受け入れ不可)と、コストがかからず運搬できるという大きなメリットがあるそうです。
めざましい文化の発展が、人々に豊かさや便利さをもたらす一方で、廃棄物の大量発生等、様々な環境問題を引き起こしています。「ここは食品廃棄物を処理して収益を得る施設ですが、本来ならこの施設は不要であって欲しいものです。食品ロスを無くすのが一番良いことです。買いすぎない、使いきる、食べ残さないことをひとりひとりが意識してください。」と熱心に説明してくださいました。
その後、工場内を見学しましたが、廃棄物の処理施設なのに、工場内全体がまるで食堂街を歩いているように美味しいかおりに包まれていて、油が繰り返し使用されているはずなのに酸化の臭いが無いことに驚きました。また、従業員の方が、気が付くとこまめに掃除をしているとのことで、とてもきれいな施設でした。
・ | 廃棄食品を油で揚げるという着想をもとに、一連の技術を開発されたのはすばらしいと思う。しかし、根本は廃棄食品を減らすことが重要で、我々消費者も若干の不自由は我慢しないといけないと思った。 |
・ | 食品ロス(1,700万t)の多さには驚かされた。スーパー・コンビニ等で食品廃棄され、最終的には豚・鶏の餌ペレットになるので、少しは有効利用され、不思議な気持ちになった。無駄を無くし、皆が食品ロスに気をつけて暮らすのが良いと思った。 |
・ | 食品ロス率が3割であることを改めて知った。飼料加工に至るまでの工程を実際に見学したことは勉強になった。「てんぷら方式」の導入は画期的であると感じた。 |
・ | 食品ロスがいかに多いかと知った。同社で1日140トンの食品廃棄物を処理し、飼料に作り変え、さらに400世帯分のバイオ発電をしていることに驚いた。 |
・ | 灰にしないで「天ぷら」にするのはグッドアイデアで、「目からうろこ」だった。 |
・ | 天ぷら油が処理後「減る」のではなく、油が多い食品を処理しているので「増える」と聞いて驚いた。 |
・ | 場内の清掃が行き届いていた。きれいであった。臭気対策も万全で感心した。 |
・ | 食品ロスの現状を前に、率先して企業努力される姿が伝わり感謝します。帰宅後、食品ロスと天ぷら方式のことをさっそく孫に話した。 |
平成16年12月に始動したこのプラントは、リサイクル率が最も低く不法投棄や不適正処理の温床といわれている建設混合廃棄物を再資源化する施設で、90パーセントという極めて高いリサイクル率を確保しているそうです。
同社会議室において、大賀専務取締役と鈴木常務取締役より概要説明を受けました。
「最初からリサイクルは始まっています。トラックの運転手は重たいものから順に分別して積込み、すぐにリサイクルできるもっぱら物(段ボールなど)は最後に積むようにしています。排出事業者の方がもっときちんと分別してくれれば、さらにリサイクル率は上がります。」との話に、最先端技術を駆使した「高精度選別再資源化システム」の徹底した機械選別等はさることながら、回収時から廃棄物を資源として大切に扱っていることに感銘を受けました。
用意されたヘルメットや白衣を着用して歩いて施設を見学しました。そこでは廃建材類が驚くほど細かく分離分別されており、人の手による部分と機械の部分がよく機能していると感じました。ダンピングヤードではどんどん運び込まれる廃棄物が作業員の手と重機でスムーズに分別されていきます。中央操作室でリアルタイムに廃棄物の処理状況を把握し、集中管理を行うことで施設内の機械設備をコントロールしているそうです。手選別ラインにおいては、コンベアから流れてくる廃棄物を見事なくらいキビキビと作業員が手で選別します。中には危険物や破砕不適合物がたくさんあるそうで、実際に混入されていたものが見学スペースに展示されていました。花火やマッチ、大きなバッテリーや鉄球など思いもよらないものが混入していることに驚きました。特に困っている混入物は、私たちの生活の身近なノートパソコンやスマートフォンなどに使われている「リチウムイオン電池」で、これは圧力をかけるだけで簡単に発火してしまう大変危険なものだそうです。
処分するときにはしっかり分別し、私たち一人ひとりが自分の生活の中でできることから取り組んでいくことが、廃棄物の適正処理には重要なことだと改めて認識しました。
・ | 法律を守り適正に処理する体制づくりや働く方の安全を確保するように努めていること、また、リサイクル品をきれいにしようと努力している気持ちを聞いて、とても嬉しかった。 |
・ | 受け入れた廃棄物を人の目と機械により、様々に変化させるのは無駄が無いと思った。人がいろいろ選別していることに頭の下がる思いがした。 |
・ | 大賀専務のリチウム電池の話は、私たち皆が気をつけて破棄すればよいとのこと、発火するとは思わなかった。ほかにも興味深い話をいろいろ教えていただいて感謝しています。 |
・ | なんといっても「手作業」に驚かされた。また、真摯にリサイクルに取り組まれている姿に感銘を受けた。 |
・ | ごみの分別の大変さがよく分かった。こんな地味で苦労の多い仕事されている方々に頭が下がる。 |
・ | リサイクル100%のための努力に頭が下がる。細かな手選別も感心した。自分にできることは必ず実行しようと思った。 |
・ | 初めて施設見学会に参加したが、規模の大きさにびっくりした。手作業が多く、将来的にはロボットを含め、全自動で分別できると良いと思った。 |
・ | 多種類のゴミを手作業で処理をしていることに驚いた。 |
・ | 処理が難しい廃棄物のリサイクル処理は頭の下がる思いである。分別する前の意識変化も必要だが、製造側の工夫も必要だと思った。 |
・ | 外部への飛散防止の対応がきちんとされていた。 |
廃棄物をリサイクルするための企業の方の大きな努力を目の当たりにした参加者からは、「従事されている方へ感謝します。廃棄物を排出している自分たちに何ができるかを改めて考えさせられました。有意義な見学会でした。」との感想をいただきました。