一般県民の方を対象に、廃棄物に関する知識と正しい理解を広く啓発することを目的に県民講座(施設見学会)を開催しました。
開催日程: | 令和元年8月19日(月)10:10~16:50 |
視察先: | (1)JFEエンジニアリング株式会社 グローバルリモートセンター (2)株式会社 Jバイオフードリサイクル 横浜工場 |
参加者 | 20名 |
横浜市鶴見区の臨海工業地帯にあるJFEエンジニアリング株式会社を訪問しました。
最初に国内外のインフラを遠隔監視するグローバルリモートセンターの監視室をガラス越しに見ることができる会議室に通されました。監視室はまるで異次元空間のようで、参加者から思わず感嘆の声があがりました。大型ディスプレイ(34台)、大型スクリーン(8台)、パソコン(30台)が設置され、映し出される焼却施設の炎、廃棄物の投入の様子、太陽光発電の状況やプラントのプログラム情報画像、今まで見たことのない斬新な設備に圧倒されました。
同社職員の方からのDVDでの事業説明のほか、常務執行役員の福田氏より詳細な説明を受けました。ここでは、ミャンマーのごみ焼却発電プラントや国内の太陽光発電所など同社が管理する国内外80施設(2019年)のインフラの運転情報を取得し、AI(人工知能)などを使って高度な運転支援を担っているそうです。このセンターの運用により、安定操業の確保、迅速な障害普及のサポートのほか、現場の運転員を2割ほど減らすことができ、インフラの運営事業で競争力を高めることができるそうです。ごみ焼却施設以外にも上下水道分野などにも使い始められており、次世代のプラント運営のソリューションを世界に提供する体制が構築されているそうです。
24時間体制で数人が駐在していますが、トラブルがあった場合は自動的にAIが問題解決してくれるそうです。では、トラブル回避の際に、人間の回答とAIの回答が違った場合はどうするのでしょうか。
「最終判断は人間が行います。」とのことでした。人間の知能を超えたAIですが、そのAIに人間の仕事が奪われるわけではなく、人間が目的をもってAIを利用していると聞き、信頼できる安心した気持ちになりました。
・ | 個々のプラントをリモートで結び、最適化を図った運用の仕方が、21世紀の持続可能な経済活動として素晴らしかった。 |
・ | 今後、今ある職業のほとんどがAIに代わると言われているが、その現実を見せてもらった感じである。リモートにより、全国そして海外ともつながり、JFEの高い技術力が活かされていることがわかった。 |
・ | JFEが環境のために取り組んでいることを知ることができた。AIには私自身、信用していない部分があるので、さらに研究を続けていただきたい。 |
・ | 最新鋭の施設見学会は素晴らしく、今後の進化も感じられた。 |
・ | 日本全国の施設をリアルタイムでコントロールできることに驚いた。数多くの日本のゴミ焼却システムを、これからより効率的に運営できる未来を垣間見ることができてとても参考になった。子供たちにも見せてあげたい。 |
・ | AIを活用した遠隔システムはすごいなと感動した。どの分野にもAIは入ってきていることを実感した。JFEは鉄を作っているだけではなく、焼却炉まで扱っていたことは知らなかった。 |
・ | 映画で見る宇宙ステーションのような施設で圧倒された。 |
引き続き同会議室にて、株式会社Jバイオフードリサイクルの代表取締役社長の蔭山氏より食品リサイクルの現状と事業概要を説明いただきました。
食品製造業でのリサイクル率は95%を超えているのに、外食産業や家庭での調理くずや食べ残しは異物(包装、爪楊枝等)の分別が困難で、飼料・肥料には不向きなためリサイクル率はかなり低い状況(外食産業は2016年は23%)にあるそうです。また、駅ビルやエキナカ等から発生する食品廃棄物は、脂分や塩分、包装等の混入が多く、飼料化や肥料化による再生利用が制限されていました。
そこで、この問題を解決するために、2016年8月、JFEエンジニアリンググループとJR東日本グループの協業により「Jバイオフードリサイクル」が設立されました。リサイクル向上策として、食品廃棄物からバイオガスを生成、発電することで、潜在エネルギーを引き出す「メタン発酵」は有効な手段だそうです。
「プラスチックや割りばし、爪楊枝等の混入している食品廃棄物等」を受け入れ、機械的に有機物のみを分別し、微生物により発酵させて、発生するメタンガスを燃料にして発電を行います。焼却処分をしないことでCO2排出量を削減し、リサイクル率100%に向けて、発酵不適切物は分別し、サーマルリサイクルや堆肥化、使用した水は工場内で再利用をするそうです。多くの食品廃棄物を排出する首都圏で、横浜市鶴見区は好立地であり、食品残渣のリサイクル率向上に大きく貢献しているそうです。
このあと、構内を歩いてプラントを見学しました。夏場の暑い時期でしたが、食品廃棄物処理施設であるのに臭いが少なく、清潔に整理された工場でした。廃棄予定の食品が梱包されたまま山積みされていましたが、つい「もったいない」という言葉が出てしまいました。食品ロス問題もありますが、目の前にある食品廃棄物をせめて適正に再資源化処理をしていくことが処理業者としての務めなのだと感じました。
・ | バイオマス発電のことや、一廃・産廃を生かす循環型社会の実現に向けた取り組みが素晴らしかった。ゴミを減らすことや食品ロスを少なくなることなど学校で教えてきたが、経済活動を行う過程で出るゴミを活かして、社会に流通するしくみも伝えていきたいと思った。 |
・ | テレビでは見る機会があったが、やはり実物を見ると、現状や企業の働きについて勉強になった。生活が豊かになる反面、負の部分をいかにして効率よく活かしていくかが重要で、これから先も技術発展すると思った。 |
・ | 食品ロスの問題は、バイオガスとして再利用してもやはり胸が痛む。大きな施設・設備や輸送のコストを考えて、やはりゴミとしない工夫を考え、実施していくことが大切だと思う。 |
・ | 臭いが少なく、大変きれいな工場だった。施設が良く管理され、運転されていると感心した。食品廃棄物の多さに驚いたが、廃棄物が電気というエネルギーになっていて良かった。 |
・ | 食品ロス問題と発電事業は先進国ならではの技術と感心した。 |
・ | 食品廃棄物についても、最新の技術でリサイクルされていて大変驚いた。教員の立場から見ると、小学4年生の社会科の学習にぴったりで、横浜の子供たちの学習に生かすことができれば良いと思う。千葉県ではDVD等で間接的に学習できれば良いと思う。 |
・ | 今後は、学校での環境教育の一層の充実が必要だと実感した。 |
今回の見学会は、協会事業である環境学習の一環で、現役教職員や教員経験者の方が多く参加されました。「資源を無駄にしないことの大切さを痛切に感じたので子供たちに伝えていきたい。」「ほかの先生方に見学会の参加を呼び掛けてたい。」との感想をいただき、有意義な見学会でした。