一般県民の方を対象に、産業廃棄物に関する知識と正しい理解を広く啓発することを目的に県民講座(施設見学会)を開催しました。
開催日程: | 平成26年3月27日(木) 9:30 ~17:00 |
開催場所: | (1)エコシステム千葉(株) ロータリーキルン式焼却施設 (2)新井総合施設(株) 君津環境整備センター 管理型最終処分場 |
参加者: | 21名 |
京葉工業地帯のグリーンベルトを超えると、工場群の中に白い蒸気をあげている大きなプラントが見えます。そこが環境総合企業のDOWAエコシステムグループ会社の一つである「エコシステム千葉株式会社」の焼却施設です。
普段から多くの見学者を受け入れているとのことで、従業員の方がとても丁寧で気持ちの良い案内をして下さいました。
施設内会議室で、渡辺堅治社長が自ら説明してくださり、1973 年に産業廃棄物の焼却による中間処理工場を開設したこと、1号炉は日本で初めての「ドラム缶ごと投入し焼却できる溶融型ロータリーキルン炉」として設置されたなどの話を伺いました。40年以上前から産業廃棄物の適正処理に取り組んできた実績とノウハウで、重金属を含む危険物(ダイオキシン類含有物、水銀含有物等)など、従来処理が困難だった廃棄物も安全処理することが可能で、DOWAグループではほとんど全ての種類の廃棄物のカバーができるそうです。
【エコシステム千葉(株):渡邊社長から挨拶および説明】 | 【ロータリーキルン式焼却炉】 |
強風と雨という悪天候のため、徒歩でプラントに近寄ることはできませんでしたが、場内をマイクロバスで移動、車窓より2号炉を見学しました。
ゆっくりとした回転により、かくはんし、焼却するロータリーキルン方式の2号炉は世界最大級の規模というだけあって、非常に大きな施設でした。
2つの炉の処理能力は240 と600ton/日、合計840ton/日で、焼却の際に発生した熱エネルギーをサーマルリサイクルしています。投入されたドラム缶は鉄スクラップとして回収し金属原料に、廃棄物の溶融残渣は燃え殻としてセメント原料や路盤材などにマテリアルリサイクルされています。
大気、水質、騒音などのほか、悪臭対策にも取り組んでいるとのことで、周辺地域の環境保全を本当に良く考えていることがわかりました。
【ドラム缶のスクラップ(金属原料として再生)】 |
・ | このような中間処理施設を早い時期にスタートさせたことに驚きました。産業廃棄物に関する私のイメージが一新されました。 |
・ | 大がかりな焼却処理設備の見学は初めてでした。出来れば外観だけでなく機械設備を近くで見学したかった。 |
・ | ドラム缶そのものも処理して、更に再利用するなど感心した。 |
・ | 高温で稼働するキルンを実際に見ることができてよかったです。 |
・ | ドラム缶やプラスチック容器のまま処理するというシステムで、自動化が進み、作業者数の少ない現場で産廃処理されている点が大変進んでいると感じた。 |
・ | ドラム缶の鉄くずや燃え殻を初めて見ました。工場の規模が大きくて驚きました。 |
・ | 1号炉、2号炉あわせて840tの廃棄物処理で、平均820tの処理で営業に努力していてびっくりしました。2号炉では廃棄物を入れたドラム缶などを丸ごと破砕、最後にドラム缶の破片も資源となるとのことでした。雨でも車を降りて直接見れると良かったと思いました。ISOを取得していて、私たちが優良企業に触れる機会を与えてくれて感謝いたします。ありがとうございました。 |
・ | トータルなシステムで、次世代へと見据えた取り組みに感謝しながら、ドラム缶ごとの粉砕等、たくさんの新鮮な工場、工程を学ばせていただきました。 |
次に向かった「新井総合施設(株) 君津環境整備センター」は埋立容量200万m3という首都圏で最大規模の管理型最終処分場です。房総半島のほぼ中央の亀山湖から車で細い林道を15分ほど走った山奥にあります。かなり分かりにくい道ということで、わざわざ従業員の方が途中まで迎えに来てくださいました。
施設内会議室で、芳倉浩業副センター長がパワーポイントを使って概要を説明、処分場の地下の遮水構造は、幾重にもなる遮水シート、自己修復シート、不織布で出来ていて、遮水シートの上下には4 m間隔で線状電極を配置し、漏水の発生位置を特定できる漏水検知システムで、常に遮水シートの状況を厳重に監視しているそうです。
【新井総合施設(株):芳倉副センター長による挨拶及び説明】 | 【遮断シート】 |
高分子吸収ポリマーの実験では、キリで穴をあけたシートの水漏れが、自己修復機能により、すぐに穴がふさがり、水漏れが止まったのは興味深いものでした。
そのあと、場内をマイクロバスで移動、II期埋立処分場の埋め立て作業を外周道路より眺めました。遮断シートの下にはさらに古畳を敷いているそうで、その様子がよくわかりました。
【II期埋立処分場】 |
水処理施設では、作業担当者の方に詳しい説明を受けながら、歩いて見学しました。 埋め立てた廃棄物から発生する浸出水は、様々な最新技術を駆使して高度に処理し、きれいな水に再生してから河川に放流するそうです。
広大な敷地の埋設物が無害化される20年後まできちんと管理し、その後、最終的に森に戻すという壮大な計画に驚きました。そして、廃棄物処理には膨大な労力及びコストを要する事を改めて認識しました。
また、率先して見学者を受入れ、安心、安全を地域の方にも理解していただくという姿勢に、同社の高い環境意識と自信が感じられました。
・ | 千葉の山中に大規模な施設を設置運営していることに感嘆しました。 「誰かがやらなければならない。」という強烈な使命感と、資力がないと出来ない産業であることを実感しました。この種、最先端技術力を見ると我が国の将来に希望がもてます。 |
・ | 管理型の最終処分場の見学は初めてですが、長期に渡る水処理の大変さが理解できました。 |
・ | 事業者の努力を強く感じた。広くこの努力を広報し、理解を深めたほうが良いと思う。 |
・ | 廃棄物の最終処分にこれ程の下準備と保護設備、廃棄物処理後の長期間の管理など処理コストがかかる内容を見て良く判った。 |
・ | 施設の大きさが想像以上のもので、やはり実際に見ることで理解を深めることが出来て良かったと思います。このような所へは個人で来られないので良かったと思います。 |
・ | 古い畳を利用するのがおもしろいと思いました。排水のシステム等、環境のために努力されている事がわかりました。 |
・ | 今まで見たことのない大きな処分場で水を出さない工夫、水を流す工夫がされ、遮水工のポリマーの実験は解りやすく面白かったです。地元の理解を得る努力をお聞きして「知ってもらう努力」と「私たちの知る努力」も大切と思いました。置かれた立場で最善の努力をする姿に感心しました。私たちが漠然と抱えている不安解決のため有害→無害化する過程が効率よく、自己完結の方向へ技術が少しでも進化して欲しいです。 私たちが出来ることは (1)ごみの分別、減量 (2)ライフスタイルの見直し (3)産廃と一般ごみの垣根を低くするため学んだことを伝えていきたいと思いました。優良企業を見学させて頂き感謝すると共に、質問にも誠実、丁寧に答えて下さり嬉しかったです。 |
・ | 人類の便利さに甘んじる安易さに改めて目醒め、自然に戻す為の大変さも実感しながら、常に研究、改善に努力されておられる方々にお礼を申し上げます。 |
人の手によって生み出された廃棄物は、人が自らの手で環境への負荷を軽減するよう計画的に処理していく責任があるということを改めて認識しました。
エコシステム千葉(株)と新井総合施設(株)では、多くの従業員の方に話を聞く機会がありましたが、いずれも環境意識が高く、深い知識を持った方ばかりでした。豊かな生活と環境保全のためには、徹底した廃棄物処理の適正処理が不可欠と実感しました。